一言で言って、感動しました。

まず気付くのは、著者のベトナム人コミュニティに対する「まなざし」の暖かさです。
しかも、筆者はあくまで客観的で事実に即した記述に徹し、
そのことが却ってそのまなざしの有無を言わさぬ客観性を保証しています。

しかも筆者の叙述する研究は、他に類例が無く、極めて独創的であることは、何人も否定し得ない事実です。

筆者は実証的に事実を淡々と述べられておられますが、
そのことが益々本書の輝きを増しています。

学術書の名を借りていても、つまらない本はたちどころに古本で流通します。
しかしこの本の価値の学術的な卓越性が明らかであるからでしょうか、
誰も手放さないからでしょう、古書からの流通入手のすべが現在のところ、断たれております。

是非とも増刷が期待されます。

そして、筆者のさらなる飛翔が期待されて已みません。

とにかく、圧倒的に優れた著作です。