背筋が伸びてしまう写真集
ベトナムフィーバーで、書籍、写真集もかなり増えてきた。私もベトナムの写真集は3冊持っているが、中でもこの「ベトナム凛と」はベストです。お値段が少々高かったのですが、思い切って購入しました。ベトナムの泰然とした自然、その自然の中でたくましく生きていくベトナムの人々、そしてなにより枯葉剤の影響を受けた方々の写真は痛ましいです。 でもそういうことを受け止め、乗り越えて前向きに生きようとしているベトナムとベトナム人の姿から、元気がもらえます。 個人的にいいなと思ったのは、いろいろな宗教の祭り方が映されているところです。仏教、キリスト教・・・その他飾らない、媚びない写真集であるところが気に入ってます。
貧しかったががむしゃらだった当時の日本を懐かしむ想い。
昨今の日本のベトナム旅行、雑貨のブームは他のアジア各国があまりにも身近になった事も有るのだろうが、ベトナムという国の民族性、風俗、歴史を含めて日本人の失ってしまった民族としての誇りを持ち続けていると感じることが背景にあるのではなかろうか?確かにベトナムはまだまだ貧しくいろいろな矛盾も包含しているがこの写真集に映し出された老若男女のすべてからバイタリティーを感じることができるのである。明日はきっと今日よりも豊かになると信じて皆が頑張った高度成長期の日本を見ているようである。 美しい自然や、生き生きとした表情の人々に加えて、ベトナム戦争の傷痕、特に枯れ葉剤による後遺症の写真はあまりにも痛ましい物が有る。太平洋戦争中に八紘一宇の掛け声のもとに日本統治下で!起こった数々の歴史上の汚点やベトナム戦争時は戦略上の基地となってきた日本とのあり方を深く考えさせられる。ショッキングな映像にもまして、淡々と「辛かった」と遠くをみつめ思い起こしながら語りかける老人の表情はかえって脳裏に焼き付き魂を揺さぶられる。 ブームに載ってベトナムへ旅行する若者たちには是非出発前に一読して欲しい書である。
講談社
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