章によるばらつきがあり
VIPからの依頼を専門に請けおう、会員制調査機関・探偵倶楽部をえがいた連作短編集。
この作品の特徴は、従来の探偵小説と異なり、探偵達の捜査活動を書いているわけではなく、探偵倶楽部があくまでも脇役に徹することである(彼らの氏名も結局明らかにされない)。探偵はあくまでも調査を依頼された事件をクールに調査して来るのみであり、その調査結果の使用方法については各章の主人公である依頼人にゆだねられている。それぞれの事件のプロットはよいので、あとはこの特徴的な設定に読者の側がなじめるか否かで評価が分かれると思う。私の感想としてはこの設定をうまく生かしている章もあれば、主人公の姿がうまくみえず、作品のメリハリがない章もあったように思う。
なるほどねぇ。
初めての東野作品。 ちょっと意外な読みあたりでした。 もっとガチガチなのかと思っていたのですが、あっさりすっきりライトに楽しめます。 トリックもよくできていて、なるほどぉ、って感じです。 とっても読みやすくて、名探偵コナンの小説版、もしくは赤川次郎の初期作品に似ていると思いました。 もう少し東野作品読んでみようかな。
クールでカッコイイ探偵
お金持ち専用の会員制探偵事務所、それが「探偵倶楽部」だ。 彼らのもとに舞い込む5つの事件を収めた連作短編小説が本作。しかし、本作に登場する探偵たちは、他のそれとは少し趣を異にする。 小説中に名前や素性の記述は一切なく、ただ「探偵」と「助手」と 呼ばれる美男美女のコンビというのが判るだけ・・・。 一般の推理小説に登場する探偵たちが、被害者と一緒に苦悩したり、 「硬ゆで卵」が大好きで一匹狼を気取ったりするのとは大違い。 依頼された用件を冷徹無比に、そして機械のような正確さで淡々と こなしていくだけだ。 そこがクールで謎めいており、かっこいい。 5つの事件ともに、読者の推理と予想をみごとに裏切る二転三転の どんでん返しが用意されている。 緻密な構成で定評のある作者の面目躍如といったところ。 その中でも新書版刊行時の表題作、「依頼人の娘」が白眉。 単なる殺人と思われた事件に隠された意外な事実と、その真相を 「依頼人の娘」に知らせまいとする周囲の人間の心遣いが、読後の 哀愁を誘う秀作。 連作中で唯一、機械のような「探偵」が自らのポリシーを曲げ、 人間らしいところを見せてくれるのも一興だ。
祥伝社
ウインクで乾杯 (ノン・ポシェット) 殺人現場は雲の上 (光文社文庫) 11文字の殺人 (光文社文庫) おれは非情勤 (集英社文庫) しのぶセンセにサヨナラ―浪花少年探偵団・独立編 (講談社文庫)
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