鼻につきます
まず、「少ないお金で夢がかなう」というのは、事実と違うのは、筆者が
本文中に書いているとおり。特に、ロンドン周辺では家は毎年値上がり
して、とんでもなくお金がかかります。
それから、日本は家にしろ、社会にしろ、便利さが徹底された国です。
これがよくないとも言えるかもしれませんが、なくなってはじめてそのあり
がたさが分かるはずです。
それから、日本にも書院造りをはじめ、質素で美しい家はあるのだから、
あえてイギリス礼賛になる必要はないでしょう。
要は、隣の庭は美しいという発想のようですが、もうそろそろ卒業しては
どうでしょう。
古くて新しいイギリスを知る
イギリスの暮らしがこんなに豊かとは知りませんでした。家を補修し、ものより、人生を楽しむ国があって、それが、まさかイギリスとは。!!
かなりショックを受けました
家にはこだわっていたつもりでしたが、本書を 読んで、自分の価値観が日本の商業主義、なんでも金銭価値 に還元する、個性のない価値観によって染められていたことに 気がつきました。知りませんでした。気がつきませんでした。「住人より長く存在する家」この言葉は心にガッツンときました。 そうなんですよね、どんなにがんばっても大邸宅は無理だし、でも、 家はくつろぎの場所、幸福の証にしたいし、って漠然と思っていました。 英国人の暮らし方を礼賛することは著者もしていませんし、それが 本書の神髄ではありません。 どういう暮らし方、その象徴として の街、家、庭、近所のつきあい、行政のあり方が、市井の庶民の 幸福を実現する舞台を提供するのか、そういう深い意義を持った エッセイなのです。 恥を忍んで言ってしまえば、読んでいて涙が出てくるような そんなショックを受けた場面もありました。 それは、私が持っていた「さらに幸福に」のための、数々の 思いこみ、凝り固まった先入観、虚栄、見栄、金銭還元主義・・ そんなものは、決して私や私の家族、家庭を幸福にする暮らし方 ではない、そういう考えで家をみるべきではないし、家と 向かいあうべきではない、という「気づき」をした瞬間です。 英国の家、街、歴史と日本のそれとを対比させつつ、「あなたは 本当に、幸せについて真剣に考えたことありますか?」、そう いう、大切なテーマを喚起している、貴重な一冊です。
ハードカバーでなければ…
発行部数などの関係でハードカバーになるのかもしれませんが、この内容でこの値段は高すぎると思いました。 内容的には最近流行のハンドメイド、カントリー的な好みの20代後半から30代前半の女性向け。一般人の視点によるものか、イギリスの住宅事情を褒めて、それに比べて日本はどうこうという書き方が散漫で論点が定まっていない印象です。比較の対象もイギリスの小さな家と京都の町屋ならともかく、日本のハウスメーカーの標準プランと比べるのは極端すぎる気がします。 家に対するイメージを固めつつある方には少しは参考になるでしょうが、ある程度固まった方にはほとんど役に立ちません。
イギリス人は「嘘だ」と怒るかも知れませんが
一部の書評では"内容に偽りあり"的な声もあるようです。 確かに、仮にこの本を日本に置き換えて 「日本人は○○だ」と随所で決めつけられれば、「そんなことない!違う!」と反論したくなります。 この本に書かれている様々な話も、もちろんイギリスの全てに当てはまるわけでもなければ、 もしかしたら多数派の声ではないのかも知れません。 それでも、この本がこれだけ評価が高いのは、 きっと多くの人が本書に書かれている内容に大いに共感したからではないでしょうか。 日本人がすでに失ってしまった日本の良さを、外国人が指摘されてハッとする事があります。 井形さんの本も、イギリス人が本来持っている筈のすばらしさを見事に指摘しているのではないかとおもいます。 これは、家の選び方のハウツー本ではありません。 大きな庭や広々としたリビング、あるいは見晴らしのよい超高層マンション・・。 そんな暮らしの一つ一つに素朴な疑問を投げかけてくれるのが本書です。 井形さんの本は3冊目ですが、本書はテーマが「家」に絞られているので、一番内容がまとまっていると感じました。 住宅がこれだけ余っているのに、なお次々とマンションが建設されている日本の異様さを考えるきっかけになる一冊として、 一人でも多くの日本人に読んでほしいと願います。
大和書房
イギリスの家を1000万円台で建てた!―イギリスで見つけた理想の家。あえて日本のハウスメーカーで建ててもらおうとしたら…。 (新潮OH!文庫) 井形慶子の イギリス式 暮らしの知恵 古くて豊かなイギリスの家 便利で貧しい日本の家 (新潮文庫) イギリス式月収20万円の暮らし方 イギリス式時給900円から始める暮らし
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